先ほど社長の声が聞こえてましたね。
「補助金使えば大した負担じゃない」
「使わないのは損でしょ!」
あ、何かセミナーでも受講されましたか。
それともネット情報ですかね?
でも危険なんですよね、
たとえその情報が確かだとしても。
今回は
「補助金があなたの会社には劇薬である理由」
を取り上げます。
国などが支援してくれる補助金や助成金。
この仕組みがありがたいと思うのは理解できます。
税金は本来払うものなのに、
それを還元してくれるわけですから。
でもね。
それだけで進めるのは危ないんです。
リスクの説明までちゃんと受けましたか?
補助金の基本構造だけでわかったつもりになっていませんか?
もちろん、補助金の全体構造はご存じかもしれません。
簡単にいえばこんなイメージですね。
「国が進めたい方向に」
「会社が自ら進んでくれるなら」
「オマケあげるね!」
その協力の度合いに応じて、
特に規模が小さいのに頑張ってくれたら
オマケをさらに増やしてくれることもある。
そのプロジェクトをどうせやるつもりだったなら
もちろん、補助金もらった方がいいですけどね。
問題は大きく2つあります。
・手続き上の問題
・会社自身の問題
手続きが難しいからって意味ではないです。
審査があるから選ばれないかもってことでもない。
もっと深い論点がそこにあるんです。
リスクとしてきちんと認識できていればいいんですが。
補助金申請のリスク1:事業実施のタイミングが遅れやすい
まず手続き上の問題について。
「申請書作成とか、
添付する資料を集める手間のことでしょ?」
大変ですよ、もちろん。
いわば国に対するプレゼンですもんね。
社内で行うなら、
かなり優秀な人材を必要とします。
でもご安心を。
頼めば、診断士がサポートしてくれますよ。
(私はあまりやりませんが)
でも残念ですが、
ソコは本質的な問題じゃないです。
最大の問題になるかもしれないのは
「実際に行動に着手していいのは
合格通知をもらってから」
ってことなんです。
タイミングよく参入したいのに
ここでブレーキがかかります。
事業の内容によっては
早い者勝ちというケースがありますよね。
もし先を越されてしまって、
一定の地位が成立したら・・
あなたに強いられるのは
「先行者利益」を確保したライバルとの戦いです。
補助金申請のリスク2:申請によりむしろ資金繰りが悪化する
しかも補助金の入金は
スタート時点ではないのです、たいていの場合。
申請時に見積書は提示しますが
補助金の入金は実際に支払ってからです。
振込の事実がわかるような
支払資料まで要求されますから、
そこには厳密なルールがあります。
つまり、
「全額を立替えることができる」
「資金調達先が確保できている」
これらが事実上の条件です。
そしてもう一つは、あなたの会社自身のこと。
これはさらに深い問題になりうる。
「投資額300万でもできるけど
どうせ補助金もらえるから500万に増やそう」
「補助金もらえるから新規事業をやろう、
これから担当者を考えるけど」
こんな軽いノリで決めていませんか?
あなたがやろうとしているプロジェクトは
少なくとも一定期間は
無条件にお金を必要とします。
その間、業績が悪くなっても・・です。
しかもマンパワーも新たに手当てしなくては。
今の社員さんでカバーするつもりなら
想像以上に負荷をかけることになるかもしれない。
余力が十分ならいいんですが。
補助金申請のリスク3:失敗しても引き返すことが難しい
さらには、一定期間は報告の義務があります。
こちらは大した手続きじゃないことが多いですが。
(申請に比べれば、ね)
ただし手続きを軽く考えていると、
せっかく受けた補助金が無効になることも。
でももっとキツイのは・・
仮に、プロジェクトが失敗かなって感じても
「手を引くならお金返してね」
というルールが要求されるってこと。
そのお金、もう残っていないですよね、たぶん。
そうなると赤字を承知で垂れ流すことになる。
返還不要になるまでの数年をガマンしている間に、
既存の本業が傾くかもしれない。
それでも撤退を決断できる自信はありますか?
補助金という上手い話にはウラがある。劇薬を扱う覚悟はある?
きつい言い方になりますが
身の丈に合わない投資であればあるほど
自らの首を絞める効果を発揮する
こういうリスクが補助金にはあるんです。
最後に、診断士らしい見解をもう一つ。
補助金依存の会社になると何が起きるかって話です。
毎年助成金もらってウハウハなんて広告も見ますが
繰り返しもらえるタイプは人件費を増やすものが多い。
これ、固定比率を上げてるだけなので
スリムな経営を目指すのとは逆方向です。
売上ゼロでも給与は払わなきゃいけない。
働き方のパフォーマンスは上がってなくても、です。
長期的にみて、会社経営の難易度を上げてます。
従業員は喜んでいるかもしれませんけどね。
でも会社が傾く原因を作っているというのは
ホントです。
「もらうもの」じゃなくて
「背負わされるもの」なんですよね、補助金って。
それでもその補助金、進めますか?
次回は社長ご自慢の力作の話です。
社員も銀行も喜んでくれた「あの作品」を取り上げます。
実は非常にもったいないことに
多大な時間をかけていたかもしれない、そんなお話です。

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